人生を面白くする 本物の教養 (幻冬舎新書)

ラジオ英会話に連載の池上彰氏の書評を読んで、気になって読んでみました。ココシャネル「私のような大学も出ていない年をとった無知な女でも、まだ道端に咲いている花の名前を一日に一つぐらいは覚えることができる。一つ名前を知れば、世界の謎が一つ解けたことになる。その分だけ人生と世界は単純になっていく。だからこそ、人生は楽しく、生きることは素晴らしい」という素敵な言葉を引用しますが、池上さんも、著者も「日本の政治家や経営者などのリーダー層の教養のなさ」を嘆き、一方で海外のグローバルリーダーやその候補はとにかくよく勉強していると賞賛します。日本の経営者が話せない理由は英語教育の問題ではなく、教養のなさと指摘します。また、教養を身につけるためには、「腑に落ちる」まで自分の頭で考えることを強調しています。日本の経営者でも海外のビジネススクールを出ている人は沢山いるでしょうし、日本の大学でしっかり勉強した人も少なくないと思います。著者は「数字・ファクト・ロジック」で考えることを何度も強調しています。その割に、前述の部分もそうですが、自分の身の回りで起きた出来事を一般化、単純化した主張が多い気がして、違和感を覚える、「腑に落ちない」場所がいくつかありました。最終章で、「人間にとって仕事とは何かといえば、『どうでもいいもの』だとあえて言っておきたい」「人生にとって重要なのは、ニ、三割の仕事（ワーク）か、七、八割の生活（ライフ）かと言えば、考えるまでもなく七、八割の方に決まっている」と述べられていて、この当たりの考え方は目から鱗が落ちる感覚を覚え、今後の糧にしたいと思いました。