AMIによる神経と経絡の研究

著者の本山博氏（1925 －2015）は東京文理科学大学（現筑波大学）哲学科を卒業した宗教哲学者で、ヨガにも造詣の深い実践の研究者です。本書は中国医学やアーユルヴェーダなどで語られる気や経絡を電気機器で測定し、考察したものです。著者は大学院時代から東西の思想について深く思索を巡らし、哲学や心理学や超常現象を科学的な視座から研究を続けた人で、それも机上の学問ではなく、自ら実践しながら深く分け入ってきました。本書はAMI（経絡－臓器機能測定器）によって得た知見をまとめたものです。これは人体を流れる電気量から気や経絡の特性を考察したもので、次のような４つの関連係数をパラメータとして用いています。BPBefore Polarization 分極前に流れる電流真皮内を流れる経絡APAfter Polarization 分極後に流れる電流表皮上を流れる自律神経IQIntegrated Electrical Charge 表皮に分極を生じさせる電気量免疫力TCTime Constant 分極が完了する時間。免疫が働くための速度著者はAMIで全身の経穴を測定し、電流量や時間に関連するパラメータで解析するというシンプルな作業で、経穴同士の働きを次のように考察していました。・井穴－愈穴・督脈の間には一定の相関があるが、愈穴は所属する膀胱経井穴と相関はなかった。井穴と愈穴は経絡機能の状況を強く反映しているようだった。・督脈は経絡系と自律神経の双方と一定の関連性があった。また終章ではこのAMI機器を用いた咬み合わせ治療について、歯科医による研究成果がレポートされていました。統計や数式の話が頻出するために、読みにくさはありましたが、主観に頼りがちな未知の現象に科学の光を当てていて興味深く読みました。